【無料お試し読み】 TOKIOから世界へ

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京都から東京、そしてパリへ。美容業界の“風雲児”がいま明かす、創業から世界進出までの軌跡と野望。本書は、「世界でブレイクする、日本発の美容ブランド」を生み出した著者&会社が、美容業界で多くの敵をつくりながらも「いかに“革新的な手法”で新たなディーラー像を構築してきたか」「同社の新ビジネスモデルが業界にどのような旋風を巻き起こしてきたか」を中心に綴った一冊である。


 『TOKIOから世界へ』第1章 


日本代表がブラジルに勝った!?

 2013年9月初頭、私はパリにいました。日本ではまだ連日猛暑が続いていましたが、パリでは真っ青な空に夏の燦々とした陽射しを残しながらも、朝晩の空気は少しひんやりとしていました。

 フランスへ来たのは4、5回目でしたが、イフイングの代表として訪れるのは今回が初めてでした。私たちの美容メーカー、イフイングが開発した新しいヘアケアブランドが、フランスで大きな話題を呼んでおり、このブランドを主軸としたフランス国内でのさらなる事業展開のために、ここパリを訪れたのです。

 そんなある日、私たちはパリ市内のある美容室を借り切って、商品の体験会を開催しました。招待客は、現地のサロン関係者、有名サロンに足を運んでいるお客様。そして、雑誌社をはじめとする各種メディアや有名ブロガー、現地のディストリビューターの方たちでした。

 体験会の後、立食パーティーを開きました。その時周囲のフランス人たちが駆け寄ってきて、突然、私を取り囲みました。そして「やったな、おめでとう! TOKIOサイコー!」と叫んで拍手してくれたのです。最初、何が起こったのか分かりませんでしたが、どうやら前日「2020年の五輪開催地が東京に決定した」というのです。それを多くのフランス人たちが喜んでくれていたのでした。私はその頃、連日激務に追われていてニュースを見る暇もありませんでした。その事実をその時初めて耳にした私は、驚きと喜びを感じながらも、やや冷静な気持ちで周囲の人々と談笑していました。

 しかし次の瞬間、私の脳裏で7年後に世界中のアスリートたちが集う東京五輪と、私たちが今、パリを中心に世界中に発信、提案していこうとしている新しいヘアケアブランドのイメージが重なりました。そして、なにか運命的なタイミングのようなものを感じたのです。

 なぜなら、今パリの美容業界で大きな話題になっている私たちのブランドの名前が、まさに「TOKIO」だったからです。このパーティーの直前に、世界的に有名な女性ファッション雑誌『ELLE』、しかも全国版にTOKIOの紹介記事が掲載されました。それらの出来事すべてが相まって、「ついにTOKIOが世界に飛び出したのだ」と、私の気持ちは昂ぶっていました。

 みなさんご存知のように、フランスは近代から現在に至るまで、ファッションや美容、ヘアメイクの分野で常に世界の最先端をひた走ってきた国です。そんなビューティー・ビジネスの本場パリに、日本のヘアケアブランドが初めて本格的に参入した。しかもパリのトップサロン、トップアーティストたちに認められ、高い評価を得ている。それは少し大げさに例えて言えば、「サッカーで日本代表がブラジルに勝利したようなものでは?」と思うのです。


スター美容師のハートをつかむ

 今回のフランス滞在期間中に、私はあるヘアサロンを訪れました。その店は、高級ブランド店や有名サロンが軒を連ねるヴァンドーム広場のすぐ近くにありました。入り口のドアを開けて入っていくと、一人の男性が私に近づいてきました。その人こそ、これからのパリの美容業界をリードしていくであろう若きスター美容師、David Lucas氏(以下、ルカ氏)でした。

 彼は開口一番、「ボンジュール、ムッシュ・フユヒロ。あなたの会社が開発したTOKIO、使わせてもらっていますよ。セ・トレ・ボン!(最高ですね)」と笑顔で話しかけてきました。以前から、彼が最近TOKIOを絶賛してくれていると聞いていた私は、ぜひ一度お会いしたいと思い、彼の店へ足を運んだのでした。

 その半年ほど前、フランスで私たちの現地スタッフがTOKIOの売り込みのために多くのサロンをまわっていました。その時、ルカ氏の店にも何度となく訪ねて行ったのですが、最初はずっと無視されていました。「キミ、良く来るけど僕のこと知ってるの?」といった感じで、とても冷たい対応をされていたのです。

 ところが今回は違いました。満面の笑顔で私を迎え入れてくれ、「次回あなたがパリに来たら、ぜひ一緒に食事させて欲しい。また、今度日本へ行ってあなたの会社が開催している美容師のイベントにも出て、日本の美容師さんと一緒にコラボレーションさせて欲しい」とまで言ってくれるようになったのです。

 短期間でこれほどルカ氏の対応がフレンドリーになったのを目の当たりにした私は、こう思いました。「これは、現地でTOKIOの信用度が急激に上がり、パリのトップサロンとの関係性がグッと密になってきた証しだ」と。「確実にフランス国内でTOKIOが浸透している」。そんな確信めいたものを感じた瞬間でした。

 ルカ氏とともに、TOKIOを導入してくれたスター美容師がもう一人います。世界中のセレブからオファーが絶えないDavid Mallett氏(以下、マレ氏)です。彼がヘアスタイリストとして手掛けてきたのは、シャロン・ストーン、デミ・ムーア、イザベル・アジャーニ、ペネロペ・クルスといったそうそうたるスターたち。現在のパリで間違いなくトップクラスであるマレ氏のサロンにTOKIOが導入されたことは、とても栄誉なことなのです。

 そしてもう一人、パリの美容業界を語る上で外せない重要なキーパーソンがいます。その人の名前はJohn Nollet氏(以下、ノレ氏)。世界的にその名を知られたスーパー美容師です。彼は、映画『アメリ』の他、『パイレーツ・オブ・カリビアン』でジャック・スパロウ役を演じたジョニー・デップのヘアメイクも手がけている、まさに世界のヘアアーティスト界の頂点に君臨する存在なのです。彼は、ルイ・ヴィトンともコラボレーションしており、パリのパークハイアットにサロンを持ち、世界中のセレブ相手にヘアメイクをしているのです。

 なんと、最近そのノレ氏から連絡が入り、「うちの店にもTOKIOを導入しました」と告げられたのです。これには正直驚きました。まさに雲の上のスーパー・アーティストですから。

 TOKIOのパリにおけるブレイクには、何か大きなうねりのようなものがありました。

 まずはルカ氏をはじめとする有名サロンに次々と導入された。それをきっかけに、雑誌などのメディアや有名ブロガーたちの間で話題になっていった。さらに、マレ氏やノレ氏といった世界的スーパー美容師も使ってくれるようになった。

 こうした流れで、TOKIOがパリで一大ムーブメントを起こしているのです。

英仏独から、日本の時代へ

 やや自画自賛的になりますが、今回、TOKIOがフランスのマーケットへの本格参入に成功した事実は、日本の美容業界にとって、〝大きな金字塔を打ち立てた歴史的瞬間〟と言っても良いと思います。

 その意味と価値を理解していただくためには、ここで日本の美容業界の歴史を少しひも解く必要があります。

 1960年代、日本は戦後の復興期から高度経済成長期に入り、ようやく国民の生活に豊かさが生まれてきました。人々は電化製品や車、その他生活必需品にお金をかけるようになりました。しかし、多くの日本人はまだ美容にお金をかけようとは思っていなかった。つまり、当時はまだ美容に対する余裕がない時代だったのです。

 そんな中、日本の美容業界も少しずつ変わり始めました。フランスの美容メーカー「L社」が先がけとなり、日本に欧州の美(ヨーロピアン・ビューティー)の風を送り込んでくれたのです。このフランスからの影響が、日本近代美容発展の始まりでした。

 その後、今度はイギリスが誇るヘアアーティスト、ヴィダル・サスーンが登場。ヴィダル・サスーンは、それまではセットメインでやってきた世界の美容業界を、カット&ブローの時代へと変革していきました。日本の若い男性美容師たちはヴィダル・サスーンに熱狂し、誰もがサスーンの新しい技術に飛びついていったのです。

 さらに同時期、ドイツのヘアケアブランド「W社」の製品が日本の若い美容師たちの間に浸透し始めました。こうして、60年代から80年代にかけて、L社(仏)、ヴィダル・サスーン(英)、W社(独)の商品、技術、サービスによって日本の美容業界は牽引されていきました。このような流れの中で新しい美容文化が花開き、美容産業の近代化が進んでいったのです。

 やがて20世紀の終盤、ようやく日本メーカーがヨーロッパのブランドに追いつき追いこせ、といった感じで台頭してきました。

 そして今、日本メーカーが世界最高品質の商品を開発。世界の美容業界に君臨し始めたのです。

 私が何を言いたいのか。それは、日本の美容業界が現在そんな状況にあるにもかかわらず、これまでフランスにメイドイン・ジャパンのヘア商品を売り込み、本格参入に成功した会社がほとんどなかった、ということです。

 つまり今回、日本の美容業界が何十年かを費やして培ってきた技術力から生まれた最高の商品TOKIOが、ついにフランス、パリのトップサロンに本格導入された。しかも現地のメディアを賑わせている。この出来事は、まさに日本の美容業界にとっての快挙と言っても過言ではありません。

 今、フランスの美容業界で大きな注目を集めているTOKIO。私たちイフイングの「ドクタージュニア事業部」が心血を注いで開発したこの商品についてもう少し詳しく、またフランスでブレイクした理由はどこにあるのか? をお話ししましょう。

 実を言うと、私たちは当初ヨーロッパ市場にはあまり興味を持っていませんでした。中国を中心としたアジア市場とアメリカ市場しか見ていなかったのです。フランスはこの先、進出することのない市場だと思っていました。また、完全にアウェイの土地、パリで私たちの商品がそう簡単に通用するとも考えていませんでした。ですから、今回のフランスにおける大ブレイクは、正直「想定外の出来事」だったのです。

 ではなぜTOKIOがここまでフランスで受け入れられたのでしょうか。


インしてカラミあう

 TOKIOがフランスでブレイクした理由。それはまず第一に、当然ながら「商品クオリティーの高さ」です。

 TOKIOは、正確には「トキオインカラミトリートメント」という名称です。その特長は大きく二つあります。最大の特長は「毛髪強度の回復率140パーセントを実現した」、という点です。「毛髪強度」とは、髪を無理やり引っ張っていった時に、どこまで切れずに耐えられるかなど、髪の強さを計る基準値のことです。この毛髪強度が、既存のトリートメントでは平均105パーセントまででした。しかしTOKIOでは、「平均140パーセント」まで上げることに成功したのです。

 二つ目の特長は「業界初の化学反応〝凝集結合〟特許技術を取り入れた」という点。凝集結合、少し難しい言葉ですが、専門的に説明するとこういうことです。

 髪の毛は主にケラチンというタンパク質でできています。そして髪の毛の内部にいけばいくほどケラチン含有量が多くなっていきます。人間の体で言えば、ケラチン=骨であり、コラーゲンやCMC(ヘアカラーやパーマなどの薬剤の通り道)といった成分が肉にあたります。髪にコラーゲン成分をたくさん与えると柔らかくなり、ケラチン成分を与えるとハリ、コシが出ます。今回ドクタージュニアの開発チームは、「ケラチン(アミノ酸)を酸性処理すると、やがて網目のように固まっていって、独特の結合をする」という事実を発見し、特許技術を取得しました。そのスーパー技術を取り入れた点が二つ目の特長です。

 これまで日本でもフランスでも、トリートメントといえば髪の外側の補修がメインでした。ところがTOKIOでは「内側の補修」に重きを置いたのです。そして、凝集結合では分かりにくいため、「インカラミ」という名称にしたのです。ちなみにこのインカラミとは、「ケラチンよ、インして(内側に入り込んで)、カラミあって(結合して)、出てくるな!」という意味の造語です。このインカラミという言葉の響きも、フランス人にとって新鮮なものとして受け取られたようです。


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