【無料お試し読み】 BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ Vol.2

good.book発行書籍の中身をお見せします。興味を持っていただけましたら書籍版もよろしくお願いします。

※書籍版は下記リンクよりご覧ください。

本書掲載のケーススタディはビジネス・ブレークスルー大学(以下BBT大学)提供のReal Time Online Case Study(略称、RTOCS)を基に収録したものです。RTOCSとは実際の企業や団体を取り上げ、「誰も正解を知らない現在進行形の経営課題」に対し、「実践」と「議論」による徹底的な論理的考察を経ることで、企業が直面している「本質的問題」を明らかにし、「経営者の視点で意思決定」を行う教育メソッドです。

『BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ Vol.2』CaseStudy1より


〜もしも私がNTT(日本電信電話)社長だったら〜

※本解説は2015/3/22 BBT放送のRTOCS®を基に編集・収録しています。


大前の考える今回のケースにおける課題とは

 1985年のNTT民営化とともにスタートした通信自由化から30年が経過、その間NTTを取り巻く市場環境、競争環境は大きく変化した。通信サービスが固定通信から移動体通信へシフトする一方で、「NTT法」によりユニバーサルサービス提供を義務付けられている東・西地域会社は有用性の低下した固定通信網を維持するために非効率経営を余儀なくされている。また、「電気通信事業法」により支配的事業者とされている東・西地域会社とドコモは特定の通信事業者に対し排他的なサービス提供を行うことが禁じられており、他社よりも競争力の高い一元的なサービスの提供が出来なかった。そのような状況の中、通信業界は放送業界との融合やインターネットの普及により異業種を交えたプラットフォーム競争へと突入、NTTは新たな顧客価値を創造し、グループの成長戦略を構築していくことが課題となっている。


固定から携帯へシフト。固定通信網の独占性が失われたNTT

#ナンセンスな分割再編

 1985年の電気通信市場の自由化を受け、NTTはかつての公社から民営化、更に1999年には持株会社へ移行、東・西地域会社および長距離・国際会社に分割再編されました。

 [図−1/日米欧主要キャリアの事業形態]をご覧ください。

 欧州主要キャリアが一体的な事業形態であるのに対し、NTTの事業形態は、米国のAT&Tに非常に近いことがわかります。これはAT&Tの分割民営化方式にならいNTTの分割再編が進められたためです。しかし、もともと一つの通信ネットワークを距離や地域で分けるという発想が疑問でしたし、また、インターネット時代では「距離」という概念自体がナンセンスであるため、当時、このNTTの分割再編に私は大反対でした。

 NTTがこのような分割再編の歩みを進めるなかで、国内の通信サービスは携帯電話の登場により固定通信から移動通信へ急速にシフトしました。[図−2/国内通信サービス契約数の推移]これはNTTの持っていた「固定通信網」の独占性が実質的に失われたということを示唆しています。固定電話の契約数は97年度をピークに減少に転じ、もはや増加に転じることは期待できません。

#有用性の低下した「固定通信網」の更新・維持・管理コストが足枷に

 携帯電話の普及により「固定通信網」がその有用性を失い契約減少が続く状況において、NTTは設備の更新・維持・管理に巨額な費用を投じ続けなければなりません。図−3には国内通信大手の設備投資費・減価償却費、ROA を示していますが、巨大な「固定通信網」を抱えるNTTは毎年2兆円規模の設備投資費を必要とし、ほぼ同額の減価償却費が利益を圧迫、結果的にROAは3%前後と競合二社に比べ低迷しています。更には「NTT法 」によりユニバーサルサービスを義務付けられているNTT東・西はこの非効率な固定回線網の縮小・撤退を機動的に行えないため、非効率経営を余儀なくされているのです。

[図−4/国内通信大手の事業別売上構成]を見ると、NTTは「固定通信(地域・長距離・国際)」が45%で「移動通信」の39%より大きい。対して、KDDIやソフトバンクの後発参入組は固定通信の比率が低く、成長性・収益性の高い移動通信が主力事業です。即ち、成長が見込めず維持・管理コストだけがかさむ固定通信事業を持つNTTよりも、“収益性の高い移動体事業”を“稼げる場所だけ”で機動的に展開できるNCC (=New Common Carrier)のほうが有利だと言えるのです。

競争環境の変化とARPUの低下

#伸び悩む売上・営業利益、背景にARPU(一契約当たり月間平均収入)の減少

 固定通信が停滞するなか、1991年8月にスタートした移動体通信事業のNTTドコモが90年代のNTTの成長を牽引してきました。しかし2000年代以降の成長は横ばいで、2014年度のグループ連結売上高は約11兆円といったところです(図−5)。

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