【無料お試し読み】 BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ Vol.11

good.book発行書籍の中身をお見せします。興味を持っていただけましたら書籍版もよろしくお願いします。

※書籍版は下記リンクよりご覧ください。


本書掲載のケーススタディはビジネス・ブレークスルー大学(以下BBT大学)提供のReal Time Online Case Study(略称、RTOCS)を基に収録したものです。RTOCSとは実際の企業や団体を取り上げ、「誰も正解を知らない現在進行形の経営課題」に対し、「実践」と「議論」による徹底的な論理的考察を経ることで、企業が直面している「本質的問題」を明らかにし、「経営者の視点で意思決定」を行う教育メソッドです。


『BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ Vol.11』CaseStudy1


〜もしも私が日本経済新聞社社長だったら〜

※本解説は2015/08/16 BBT放送のRTOCS®を基に編集・収録しています。


大前の考える今回のケースにおける課題とは

 日本経済新聞社は国内全国紙5紙のなかで経済紙として確固たる地位を築き、総合メディアグループとして放送、出版、金融専門情報など様々な事業を展開する。昨今、業界ではインターネットメディアの普及により読者及び広告主の新聞離れが加速しており、同社もその影響を強く受け長期にわたり業績が低迷している。そのような状況のなか、2015年7月、英国の有力金融専門紙Financial Timesを発行するFinancial Times Groupを高額で買収し注目を集めた。今後、同社がFT Groupとのシナジーを図りつつ、いかにデジタル時代における収益モデルを構築し、さらにはグローバル化を進めていくかが課題となっている。


Financial Times Group買収に踏み切った日本経済新聞社

#メディア界に衝撃が走った、Financial Times Groupの高額買収

 2015年7月、日本経済新聞社(以下、日経)は、英国の有力金融専門紙Financial Times(以下、FT)を発行するFinancial Times Group(以下、FT Group)を8億4,400万ポンド(約1,620億円)で買収しました。今回の買収は様々な点で注目を集めています。買収金額がFT Groupの収益力から見て巨額であることから、買収にどのようなメリットがあるのか、ジャーナリズムの文化が異なる両社が上手くいくのか、さらには、財界とのつながりが深い日経の企業不祥事に対する消極的な報道姿勢がFTに悪影響を与えるのではないか、という懸念まで報道されています。日経はFTの編集権の独立性を維持するとしていますが、いずれにしろ、これらの懸念を払拭するためにも日経がFT Groupとどのようにシナジーを図り成長戦略を描くかということが重要です。


#新聞以外も幅広く手がける総合メディアグループ

 日経は新聞事業を手がける中核会社を事業持株会社として、傘下に出版事業や印刷・製作、広告・販売、金融情報・データ、テレビ放送などを手がける総合メディアグループです(図-1)。

 事業の中核となる日本経済新聞(以下、日経新聞)は、国内の全国紙5紙のなかで販売部数は4位、売上高は3位に位置しています(図-2)。販売部数が最も多いのは読売新聞で、朝日新聞、毎日新聞が続き、その後に日経新聞、産経新聞という順になっています。販売部数のわりに売上高が大きいのは、全国紙のなかで唯一の経済紙として差別化ができており、その専門性の高さとブランド力で他紙より高額な購読料を設定できるという強みがあるからでしょう。

#インターネットの普及とリーマンショックで新聞は衰退

 ブランド力があるからといって、日経の業績に全く心配がないとはいえません。2008年のリーマンショックで企業の広告費が減少し、2009年には利益がマイナスへと大幅に落ち込みました(図-3)。現在は約100億円の純利益が得られるまで回復していますが、リーマンショック前と比べると売上高も利益も低下したままとなっています。

これは日経だけでなく、他の新聞社も同様です。各社とも販売部数は漸減しており、連結売上高はリーマンショック以降、大幅に低下しています(図-4)。

 新聞発行部数の減少は、インターネットの普及が背景にあると考えられます。[図-5/国内新聞発行部数推移]に示すように、インターネットが一般に広まってきた1990年代末から、発行部数は一貫して減少し続けています。国内全体の新聞発行部数は、1990年代は5,300万部を超えていましたが、2014年には4,536万部まで落ち込んでいます。

高額買収の実情 ピアソンの思惑と日経の弱点

#ピアソンはなぜFinancial Times Groupを売却したのか

 FT Groupはロンドンに拠点を置き、教育出版・サービスを中核事業とする複合メディア企業ピアソンの傘下にありました。FT Groupは金融専門紙のFT、経済誌のEconomist、株価指数組成や管理を行うFTSE 、金融データサービスのプロバイダーであるIDC で構成されていました。親会社のピアソンは教育サービス事業に集中するため、2010年以降、FT Groupを事業ごとに売却してきました。日経へのFTグループ売却買収もその一環です(図-6)。

 

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