【無料お試し読み】 BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ Vol.14


good.book発行書籍の中身をお見せします。興味を持っていただけましたら書籍版もよろしくお願いします。

※書籍版は下記リンクよりご覧ください。


本書掲載のケーススタディはビジネス・ブレークスルー大学(以下BBT大学)提供のReal Time Online Case Study(略称、RTOCS)を基に収録したものです。RTOCSとは実際の企業や団体を取り上げ、「誰も正解を知らない現在進行形の経営課題」に対し、「実践」と「議論」による徹底的な論理的考察を経ることで、企業が直面している「本質的問題」を明らかにし、「経営者の視点で意思決定」を行う教育メソッドです。


『BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ Vol.14』CaseStudy1より


~もしも私がミズノの社長だったら~

※本解説は2015/5/17 BBT放送のRTOCS®を基に編集・収録しています。

大前の考える今回のケースにおける課題とは

 総合スポーツ用品メーカーのミズノは、かつての日本トップメーカーであるが、国内市場の縮小により業績が低迷、1位から転落し、世界上位メーカーと大きな差が開いている。グローバルメーカーが裾野市場の広いシューズとアパレルを主力とする一方で、専門用具の総合メーカーであるミズノは各スポーツ分野の裾野市場が小さく、また国内野球用品以外では存在感を出せていない。世界上位のグローバルメーカーとの競争を避けつつ、総合専門用具メーカーとしての強みを活かしたグローバル戦略をいかに構築するかが課題となっている。

アシックスに大きく水をあけられた、かつての国内トップメーカー

#国内市場の縮小で売上高低迷、アシックスに追い抜かれる

 ミズノは総合スポーツ用品メーカーの大手です。かつては日本のトップメーカーだったのですが、現在ではアシックスに大きく差をつけられてしまいました。1990年代をピークにスポーツ用品の国内市場が縮小傾向にあり、それとともにミズノの業績も低迷しています(図-1、2)。

 その一方で、アシックスは2005年ごろから急激に業績を伸ばしており、2015年には4,715億円の売上高を達成しています。ミズノは1,871億円でしたので、両社には大きな差が開いてしまいました。


#アシックス成功のカギは“足”へのこだわりと海外展開

 国内市場が低迷するなか、アシックスがここまで売上を拡大できたのは、海外展開の躍進が大きな要因です(図-3)。ミズノの海外売上比率が34.5%に留まるのに対し、アシックスの同比率は78.6%に達しています。そして、この海外躍進の原動力となっているのがシューズ事業です(図-4)。近年はアパレルにも力を入れているのですが、やはりアシックスといえばランニングシューズとしてのブランド力が圧倒的です。前身のオニツカ時代にはオニツカタイガーのシューズが有名でした。現在、世界最大のスポーツ用品メーカーであるナイキは、元々、オニツカタイガーシューズの米国における販売代理店として創業した会社です。“足ックス”ともいわれるほどに、とにかくシューズに重点をおいています。

 世界各国・地域によって人気のスポーツは様々ですが、ランニングシューズはあらゆるスポーツの基礎トレーニングに用いられる汎用性の高いスポーツ用品です。また、機能性の高いシューズは、普段履きのシューズとしても人気が高く、ファッションアイテムとして展開が可能であり、グローバル展開が容易なスポーツ用品といえます。

 一方で、ミズノが扱うのはそれぞれのスポーツの専門性に特化した専門用具であり、そのスポーツをしない人にはまったく縁のないものが多いのです。ミズノは特に野球用品で有名ですが、グローブやバット、スパイク、ヘルメットなどは、野球をしない人にはまったく不要なアイテムです。また、野球というスポーツが盛んな国も限られています。すなわち、ミズノは様々なスポーツの専門用具を扱っていますが、専門性が高いがゆえにグローバル展開が困難になっていると言えます。

 この事業ポートフォリオの差が両社のグローバル展開の差、ひいては売上高の差につながっていると考えられます。


スポーツ用品の流通構造が変化し、従来のビジネスモデルが崩壊

#幅広い商品展開が量販店時代に適合しない

 ミズノの主力事業は野球やゴルフ、その他の各種スポーツの専門用具です。ただし、野球は日本と米国以外ではあまり需要がありませんし、ミズノのゴルフ用具はあまり人気があるとはいえません。その他の各種スポーツ用具やシューズ、ウエアも幅広く展開していますが、まさにこの点にミズノの業績低迷の原因があります。家電メーカーと同じ状況が起こっているのです(図-5)。

 例えば松下電器(現パナソニック)は、ナショナルショップ という販売店網を持っていて、自社ですべてのジャンルの家電製品を生産してきました。しかし家電量販店時代になると、様々なメーカーの商品が一つの店舗に集められ、消費者は自分の目的とする商品のコーナーだけに行けばすむようになり、独自の販売網は重要ではなくなってしまいました。ミズノもこれとまったく同じ状況にあります。かつてスポーツ用品は町の個人商店を中心とする流通構造でした。小規模な個人商店が各種のスポーツ用品を仕入れる場合、ミズノのような専門用具の総合メーカーが優位性を持っていました。しかし現在ではスポーツ用品の量販店が出現し、ミズノのような総合メーカーの商品だけでなく、アシックスのランニングシューズやWilsonのテニスラケットなど、特定のジャンルに特化したメーカーの商品も一緒に並ぶようになりました。こうした店舗では、ミズノの商品はどのコーナーでも取り扱い数がかなり少なくなっています。この流通構造の変化がミズノのビジネスモデルに与えた影響は大きいといえます。


#野球と水泳以外に存在感を示せず

 スポーツ用品量販店で見られるミズノの劣勢は、[図-6/ミズノのスポーツ用品の国内シェア]からも読み取ることができます。各分野におけるミズノの国内シェアを見ると、野球用品はトップ、水泳用品では3位に位置していますが、それ以外のジャンルにおいては、テニスやバドミントンのヨネックス、卓球のタマス、ゴルフのダンロップやテーラーメイドなど、それぞれスペシャリストともいえるメーカーが大きなシェアを占めています。つまり、野球と水泳以外では、あまりミズノの存在感はないといえるでしょう。



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