【無料お試し読み】 BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ Vol.19

good.book発行書籍の中身をお見せします。興味を持っていただけましたら書籍版もよろしくお願いします。

※書籍版は下記リンクよりご覧ください。


本書掲載のケーススタディはビジネス・ブレークスルー大学(以下BBT大学)提供のReal Time Online Case Study(略称、RTOCS)を基に収録したものです。RTOCSとは実際の企業や団体を取り上げ、「誰も正解を知らない現在進行形の経営課題」に対し、「実践」と「議論」による徹底的な論理的考察を経ることで、企業が直面している「本質的問題」を明らかにし、「経営者の視点で意思決定」を行う教育メソッドです。


『BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ Vol.19』CaseStudy1より


~もしも私が「マツダの社長」だったら~

※本解説は2016/2/28 BBT放送のRTOCS®を基に編集・収録しています。

大前の考える今回のケースにおける課題とは

 国内販売台数第6位の自動車メーカーであるマツダは、新規格ディーゼルエンジンを軸に過去最高収益を達成したが、海外売上高が8割弱を占める状況に対し、生産の7割弱を国内で行っているため、為替変動による業績への影響が非常に大きい。今後、為替の影響を受けにくいグローバル生産体制の確立を進め、さらには低燃費技術を軸に提携メーカーの拡大を図り、いかに収益体質を改善し、世界販売台数を伸ばしていくかが課題となっている。


低燃費・高出力の独自技術への集中と円安による高収益

#販売台数国内第6位、世界第14位の自動車メーカー

 マツダは現在、国内販売台数で第6位の自動車メーカーです。2015年の国内販売台数を見ると、第1位はトヨタ自動車の145万台で、第2位のホンダの73万台を大きく引き離し、独走状態となっています。第3位はスズキの64万台、第4位はダイハツ工業の61万台、第5位は日産自動車の59万台で、これら2位以下の4社は同規模です。それに続くのが第6位のマツダですが、その販売台数は25万台で日産自動車の半分以下と大きく差をつけられています(図-1)。

 世界での販売台数(2015年)を見ると、国内第1位のトヨタ自動車がトップで1,015万台、第2位がフォルクスワーゲンで993万台、第3位がゼネラルモーターズの984万台となっています。マツダは第14位の154万台です(図-2)。自動車業界は世界的な再編が進み、上位メーカーの販売台数は飛躍的に拡大しました。マツダの販売台数も伸びていますが、中国メーカーの台頭もあり、上位10社に入ることも困難な状況です。

#フォードとの資本関係を解消し、トヨタと包括的業務提携

 次に、[図-3/主要自動車メーカーの資本・提携関係]を見てみましょう。マツダは1996年から2008年にかけて米ビッグ3の一角であるフォードの傘下にありましたが、リーマンショックを機にフォードが経営危機に陥るとマツダ株を売却、2015年には完全に資本関係を解消しました。フォードとの関係解消で、長らくマツダがどこと組むのかが業界で注目されていましたが、2015年5月にトヨタ自動車と包括的業務提携を締結し、再び注目を集めています。

 自動車業界では、分野ごとに提携することで、自社の弱点を補い経営資源を得意分野に集中するための「合従連衡」が世界的に進んでいます。フォルクスワーゲンと販売台数世界首位を争うトヨタ自動車にとっては、エンジンのみでエコカー並みの低燃費を実現したマツダの「スカイアクティブ技術 (SKYACTIV TECHNOLOGY)」は大きな魅力です。また、マツダにとってもエンジンの効率化に集中した結果、HV(ハイブリッド車)やFCV(燃料電池車)などのエコカーの開発に手が回らない状況であるため、両社は包括的業務提携により互いの技術を補完します。

 自動車業界全体を見ると、かつては世界的にM&Aによるグループ化が進んでいましたが、2014年にフィアットがクライスラーと経営統合したあとは大きなM&Aはなく、業界再編はやや沈静状態となっています。

 一方で環境技術、次世代技術競争は激化しており、各メーカーは技術ごとに提携相手を模索している状態です。トヨタ自動車とマツダの提携関係は、将来の環境・安全技術の開発などを視野に入れた包括的業務提携ですが、資本的な提携はしていません(図-4)。

 トヨタ自動車は、富士重工業に16.5%を出資して小型車の供給もしながら、共同でスポーツ車の開発を行っています。日野自動車には50.1%出資しており、さらにダイハツ工業にも51.2%出資、さらに完全子会社化を検討しています。また、BMWとは燃料電池車の開発で提携しています。

 一方マツダは、日産自動車と商用バンやミニバンを相互供給し、スズキからは軽自動車の供給を受け、イタリアのフィアットにはスポーツ車を供給しています。しかし、2015年に資本を解消したフォードとのような濃厚な関係を結んでいるところはありません。

#低燃費・高出力の「スカイアクティブ技術」への集中と新商品のヒット

 マツダは90年代に円高などの影響により業績が悪化、1996年にフォードが33.4%出資、さらに経営陣を招聘するなどフォード傘下のもとで再建を進め、売上を拡大してきました。しかし、2008年9月のリーマンショックでフォード傘下から離脱、さらに円高や東日本大震災が続き、販売不振により2012年まで売上は低迷していました。

 その後、低燃費・高出力の「スカイアクティブ技術」に経営資源を集中したことや、円安が追い風となり、数々の新製品がヒットしました。業績低迷を抜け出すため、マツダが企業として生き残りをかけ取り組んできた構造改革が、実を結んだ結果といえます(図-5)。

海外生産比率を引き上げる生産改革

#海外販売が8割を占め伸張するも、欧州では人気に陰り

 伸張しているマツダの売上高ですが、内訳を見ると国内売上は低迷を続け、海外売上が牽引しています。現在、海外売上が79%、国内売上が21%と、海外が国内の3倍以上となっています(図-6)。

 



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