【無料お試し読み】 BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ Vol.20

good.book発行書籍の中身をお見せします。興味を持っていただけましたら書籍版もよろしくお願いします。

※書籍版は下記リンクよりご覧ください。

本書掲載のケーススタディはビジネス・ブレークスルー大学(以下BBT大学)提供のReal Time Online Case Study(略称、RTOCS)を基に収録したものです。RTOCSとは実際の企業や団体を取り上げ、「誰も正解を知らない現在進行形の経営課題」に対し、「実践」と「議論」による徹底的な論理的考察を経ることで、企業が直面している「本質的問題」を明らかにし、「経営者の視点で意思決定」を行う教育メソッドです。


『BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ Vol.20』CaseStudy1より


〜もしも私がVAIOの社長だったら〜

※本解説は2016/2/21 BBT放送のRTOCS®を基に編集・収録しています。

大前の考える今回のケースにおける課題とは

 1996年、ソニーがVAIOブランドでパソコン市場に参入して以来、VAIOはその高いデザイン性とブランド力により高価格帯セグメントで一定のシェアを確保してきた。しかし、パソコン市場の悪化を背景にソニーがパソコン事業の売却を決定、大幅なリストラを断行したのち、2014年7月にVAIO株式会社として再スタートした。低価格競争と需要減少にさらされる中、ブランド力を活かした戦略の再構築が課題となっている。


世界的に失速するパソコン市場

#ノートパソコン「VAIO」の再出発

 かつてソニーから販売されていたパソコンブランドのVAIOは、その高いデザイン性で人気を集め一時代を築きました。しかし、パソコン市場は、コモディティ化による低価格競争とスマートフォン(以下スマホ)などの代替機普及による販売減少を背景に、国内メーカーは撤退・再編を余儀なくされています。2007年には日立製作所、2010年にはシャープがパソコン事業から撤退、2011年にはNECが中国Lenovoとの合弁体制に移行しました。このような流れの中、2014年7月、ソニーのパソコン事業もPEファンドの日本産業パートナーズ(以下JIP)に売却され、VAIO株式会社として分離独立しました。

 出資比率はJIPが全額出資するVJホールディングスが92.6%、ソニーが4.9%、経営陣が2.5%となっています。長野県安曇野市に本社と工場を置き、ソニー時代に1,000人以上いた従業員を約4分の1に縮小し、240人での再スタートとなりました。ソニーとは販売業務を委託するという形で関係が維持されています。

 2015年12月には、不正会計問題で経営再建を余儀なくされた東芝 、および富士通とのパソコン事業統合構想が持ち上がりました。VAIOを存続会社とし、3社のブランドを維持しつつ、海外生産から撤退し国内工場に集約化するという構想で、単純合算すると国内シェア3割超のトップに立ち、規模の経済性によりコスト競争力を強化していく構想でした。

 私たちがVAIOのケーススタディに取り組んだのは2016年2月でしたので、まさにこの統合構想が交渉されている最中でしたが、私は以下の3つの理由により絶対にこの統合構想を受け入れてはならないと判断しました。1つ目の理由は、資産と人員を大幅に削減し贅肉を落とし切ったVAIOに再び余計な贅肉をつけては再建が成り立たないということ。2つ目は、3ブランドを維持するために経営資源を分散させる余裕はないということ。3つ目は、そもそも統合構想に何のシナジーも見出せないということです。これは誰の目から見ても明らかだったと思います。その後、2016年4月、この構想は白紙撤回されることとなりましたが、VAIO経営陣としては当然の判断であったと思います(図-1)。

#パソコンはピークアウト、世界の出荷台数は減少トレンドに

 3社統合構想が白紙となった今、VAIOは新たにどのような成長戦略を描いてゆけばよいのか。それを考えるにあたり、まずは現状の市場動向を見ていきましょう。

 世界のパソコン出荷台数は2011年に3億6,500万台でピークを迎えています。その後は減少する一方で、2015年には2億8,900万台まで落ち込みました。減少の直接的な原因はスマホの急激な普及です。パソコン、スマホ、タブレットなどの主な情報通信機器の世界出荷台数を見ると、スマホがここ数年で急増しており、2015年の出荷台数はパソコンの2億8,900万台に対し、スマホはおよそ5倍の14億3,000万台です。さらにタブレットも約2億台出荷されており、パソコンの需要を奪っています(図-2)。

#国内ではパソコンおよびスマホが失速

 続いて日本の動向です。

 国内では、世界的に出荷台数のピークを迎えた2011年前後に1,500万台前後を推移していましたが、2015年には1,017万台まで激減しました。単年度での急減の理由としては、円安によるパソコン本体の値上げ、店頭における光回線とのセット割引の大幅減少、Windows10の無償提供による買い替え需要の減少などが挙げられます。スマホ、タブレットを含めた出荷台数の動向を見ると、ここ数年のスマホの出荷台数はパソコンの約2倍で推移、タブレットは2015年にパソコンと並びました。世界の動向と照らして見る限り、今後、国内のパソコン需要が伸びることは考えにくいでしょう(図-3)。

 このように国内外でパソコン需要が減少する現状において、VAIOの出荷台数シェアは国内で1.8%、世界ではわずか0.04%に過ぎず、たいへん厳しい状況です(図-4)。

ユーザー満足度に見るメーカーの強み・弱み

#パナソニックがノートパソコン満足度の上位をキープ

 数あるノートパソコンのなかで、VAIOはユーザーにとってどのような魅力があるのでしょうか。

 [図-5/国内ノートパソコン総合満足度ランキング]をご覧ください。1位がパナソニック(Let’s note)、2位がソニー(VAIO)、3位が東芝(dynabook)という結果です。東芝とともに統合構想を進めていた富士通(FMV)は6位で、5位の台湾メーカー・ASUS に僅差ながら負ける結果となりました。



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