【無料お試し読み】 エバンジェリストに学ぶ成長企業のためのワークスタイル変革教本Vol.2

good.book発行書籍の中身をお見せします。興味を持っていただけましたら書籍版もよろしくお願いします。

※書籍版は下記リンクよりご覧ください。


「これからの人間の働き方」について考えた1冊

エバンジェリストが語る、これからの働き方。

先進IT企業の"エバンジェリスト"が「企業を成長させるワークスタイル変革」について語りつくします。

本書で取り上げている、ゼロから今までなかった全く新しいものを生み出すクリエーション(創造)企業は、ワークスタイル変革に大きな影響を与えており、業務プロセスのサポートや処理の効率化のみを目的としてきた既存のIT活用を超えた、別次元の領域に踏み込んでいます。

本書はそういった企業のエバンジェリストの言葉によって、「これからの人間の働き方」について考えた1冊です。



『エバンジェリストに学ぶ成長企業のためのワークスタイル変革教本Vol.2』1より


1 未来を指し示す「エヴァンジェリスト」という仕事

たった3人でスタートしたiPhone事業推進室

古川:中山さんは、ソフトバンクの首席エヴァンジェリストとして全国各地での講演やセミナーの開催、本の執筆など精力的な活動をされていらっしゃいますが、そもそも、エヴァンジェリストというお仕事をされるようになったのは、どのような経緯からだったのでしょうか?

中山:私はソフトバンクに入る前、いろいろな会社の仕事を経験しました。SEとしてグループウェアの開発を行ったり、映像配信ビデオサーバーのマーケティングマネージャーなども経験しました。中でも外資系企業のマーケティング部門にいたことが多かったので、もともと人前で喋る機会がたくさんあったのです。

2001年にソフトバンクに入社したのですが、iPhoneが日本に上陸した2008年に「iPhone事業推進室」という部署が作られて配属され、私も含めてたった3人でスタートしました。

古川:ソフトバンクさんといえども、iPhoneの事業推進は最初はスモールスタートだったのですね。

中山:はい。ですからすごく忙しかったです。アメリカとの交渉をしたり、国内でのサービス内容や価格を考えたりするなどの建付けをする人は当然必要ですが、お客さまに製品自体をアピールしていく人も必要になります。そこで、「じゃあ私はそのアピールする役割を『エヴァンジェリスト』(伝道師)という立場でやっていきます」と宣言したのです。私が以前在籍していた会社のアメリカ本社のエンジニアが「エヴァンジェリスト」という肩書を持っていたのですが、「伝道師」というのは非常に分かりやすいし、自分にもマッチしていると思ったのです。こうしてソフトバンクグループで初めて「エヴァンジェリスト」という肩書きを使うようになりました。


Apple認定のエヴァンジェリストに

古川:今はだいぶ浸透してきた「エヴァンジェリスト」という仕事ですが、当時はまだまだよく分からないとか、不思議に思う方もいらっしゃったのではないですか?

中山:そうなんです。どこに行っても「えっ、なんですか、その仕事は?」という感じでした。

そんな中、転機になったのは「Softbank Summit 2008」というiPhoneの法人のお客様向けイベントでした。私はもちろん、当時社長だった孫正義(現会長)もお客さまの前でプレゼンをしたのですが、そのとき、アメリカのApple本社から幹部社員が6人くらい来ていました。そして私たちが使う画像や資料、喋り方などを全てチェックしていたのです。それを見たApple本社の幹部が「孫さんと中山さんのプレゼンは非常に良かった」と。さらに「孫さんと中山さんを、正式にiPhoneのエヴァンジェリストとして日本で活動することを認めます」との言葉をいただいたのです。こうして世界でも数少ないApple認定のエヴァンジェリストに認められたのです。

古川:そんなに少ないのですか?

中山:Apple社は、そもそもエヴァンジェリストを認めない会社なのです。スティーブ・ジョブズ以外はエヴァンジェリストとは言えないと。ですからこれはかなり異例のことらしいのです。それからはもう毎日、土日も含めて全国各地で年間300回ペースで講演しています。

古川:どんなところでどんな内容のセミナーや講演をされているのですか?

中山:リコーさんのような業種の企業もあれば、もちろんIT関連の企業が主催する講演会もあります。商工会議所主催といったセミナーもありますが、年間300回のうち約半分は個別に企業を訪問しています。企業を直接訪問して講演をすると、見事に製品が売れます。社長の前でプレゼンできると、社長がその場で「君たちも明日から全員iPhoneにしなさい」とか「さっそくiPadを導入しましょう」と言ってくれますから。一番販売台数の多かった年は、講演会だけで1年間で6万台の製品を販売し、おかげさまで孫から直々に社長賞もいただきました。


少し先の未来を見せてあげるのがエヴァンジェリストの役目

古川:中山さんは大学や専門学校などでも講義をされていますが、学校ではどのような講演をされているのですか? やはり工学部や工学系の専門学校などが多いのでしょうか?

中山:そうとも限らないです。工学部から呼ばれることもありますし、経済学部からお声がかかることもあります。その辺は幅広いですね。講演内容は、iPhoneやiPadなど、モバイルインターネットの未来といったテーマで話すことが多いです。例えば歯学部や医学部などでは、「医療の現場で今後はこういうタブレット端末で医療画像を見ていく、診断していく時代が来る」など、学部ごとにテーマを決めて、最先端のデバイスがこれからどう使われるか、といった内容で講義しています。

古川:いろいろな企業や大学、専攻など講演を聴く人にあわせて、より身近な事例を用意して説明されるのですね。

中山:そうです。ですから、年間300回の講演用に、資料も300ファイル作らなくてはなりません。話す内容も長さも毎回違いますし、参加される方の層も違いますから資料の使い回しができないのです。オフィスにはほとんどいませんので、資料は基本的には移動の新幹線の中で作ります。場合によっては、当日、講演会場でその日参加される人のリストを見せてもらって、その場で資料を編集することもあります。製造業の方が多いようなら製造業向けの事例を多めにしたり、ある地域の方が多いようならその地域の事例を入れたりという形です。

古川:企業向け講演やセミナーの内容は、やはり主にiPadとかiPhoneのお話が多いのでしょうか。

中山:以前はそうでした。しかし、最近の講演依頼は「iPhoneやiPadをテーマに」というものはゼロになり、ペッパーとワトソンの話の依頼が圧倒的ですね。やはり世の中は動いているので、iPhoneやiPadのことはだいたいみなさんご存じです。インターネットでも調べられますしね。私は、常に新しいものを牽引しているソフトバンクのエヴァンジェリストとして、やはり常に最先端の部分、「ちょっと先の未来はこうなるんだよ」というところを示していくのが役割だと思っています。お客さまも、今の最先端、それが導く未来予想を知ることができると嬉しい、と期待してくれているのだと思います。


2 ソフトバンク流ワークスタイル変革の極意

まず自分たちが使ってみる、というソフトバンク・スタイル

古川:ソフトバンクの社員の方々の働き方、ワークスタイルの特徴についてお伺いできますか?

中山:最初にお話ししておきたいのは、ソフトバンクグループでは、なにか新しい製品やサービスを売っていくときに、「まず自分たちが使い始める」という伝統があるということです。そこで自分たちが本当にいいと感じたものをお客さまに提案するというやり方を、これまでずっと続けてきました。例を挙げると、日本で一番初めにIBMのグループウェア「ロータスノーツ」を本格的に導入した企業はソフトバンクです。ロータスノーツを自分たちのパソコンに入れて、データを入れたり構築したりして自分たちでいいところ悪いところ、こういう使い方をするといいなどの工夫をして、実際に体験した上で、お客さまに提案してきたのです。

古川:まず、自分たちで触ってみる、自分たちの会社に導入してみる、という文化があるのですね。

中山:はい。ネットウェアを最初に導入したのも、シスコのシステムを大々的に取り入れたのもソフトバンクです。その根底には、最先端のものをまず自分たちで使ってみようという考え方があります。ですからiPhoneもiPadも、発売された時すぐに全社員に配られました。孫がかつて講演で「iPhoneとiPadを持っていない人は、人生を悔い改めていただきたい」などと過激な発言をしていたことがありましたが、そこまで言う以上はやはり全社員に配り、とにかく使ってみなくてはということです。

孫は、iPhoneを全社員に配った時には「今日からiPhoneを全社員にも配るけれど、とにかくまずは遊べ。ゲームをしようが音楽を聴こうが自由に遊んで構わない」というメールを送りました。その文面に織田信長の話が書いてあって、「鉄砲の達人として有名な信長は、小さい時から鉄砲で小動物を打ったりして遊んでいて、その中から『どう打てば的に当たるか』などの使い方を自然に学んでいった」と。さらに、「現代人におけるiPhoneもまさに当時の鉄砲と一緒。遊びの中からどんどん使い方をマスターしていきなさい」とあったのです。

普通、会社支給のデバイスを使って社内でゲームをするなんてご法度ですよね。しかし孫は、遊ぶことを許可した。すると、遊びの中からいろいろな使い方が発見されてきて、皆どんどんiPhoneに慣れ親しんでいきました。iPadも同様ですが、iPadを全社員に配った背景には災害時対応という意味もありました。実際に東日本大震災が起こった時は私も1週間くらい出社できなかったのですが、皆、常に持ち帰りができたiPadで仕事をすることができました。


強制的にiPadで営業させるという荒療治

古川:ソフトバンクさんではiPadを使ったリモートワーク、在宅勤務などを積極的に推奨されているのでしょうか。

中山:いつでもどこでも働ける環境づくりは整えています。仮想デスクトップで社内ネットワークに接続でき、必要なメールやファイルにアクセスすることが出来ます。そういった仕組みがあります。

古川:ノートパソコンを社員に支給するという会社は多いと思いますが、その仕組みであればどのパソコンでも業務を行うことが可能なのですね。

中山:はい。万が一何かがあって出社できなくても、仮想デスクトップを使って業務が行えます。そういったことは、お金をかけてでも徹底してやっています。新しいワークスタイルについても自分たちで実際に行ったことをお客さまに提案してきました。

例えばソフトバンクは、iPadを配布する際に、敢えて営業担当者からパソコンを取り上げてしまったのです。彼らの仕事の仕方を変えるためです。当時は全員にパソコンが配られていて、営業担当者は自分たちでパワーポイントで資料を作りながら、得意先に行って提案をしていました。ところがiPadだけになってしまうと、当然「iPadじゃ資料が作りにくいじゃないか。不便だ」という不満が噴出します。そこで、じゃあ仕事の仕方と組織を変えよう、ということで営業担当者は自分で資料を作らないようにし、プレゼン用映像などの資料を作る専門の部署を作ったのです。

古川:ワークスタイル変革のためにそこまでやるというのはすごいですね。

中山:孫や私たちソフトバンク社員が外部で講演する時などに使っている画像や映像資料はかなりレベルが高いと言われるのですが、それは全部社内の資料作成専門の部署の人間が作っています。外部に作らせているわけではありません。彼らは、プロ用のカメラ、ビデオカメラ、加工用ソフトなどの機材を持っていて、画像加工からビデオ編集まで自分たちで計画して資料を作ります。新しい製品はもちろん、バージョンアップしたiPhoneやiPad、Surfaceなどの商品紹介資料、事例映像など、必要なものはもう分かっているので、こちらが指示しないでも先に作っておいてくれるのです。

それら全部が社内のイントラネットで公開され、社員は自由にダウンロードできるような仕組みが整っています。だから営業担当者は得意先に行ってプレゼンするだけ。そういうワークスタイルにしてiPadを活用するようにしているのです。資料を作る人間、それをもとに喋る人間と業務をきっちりと分けて、それぞれに必要な最先端のデバイスを徹底的に使わせています。

古川:素晴らしいですね。それは、成功パターンの一つかもしれません



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