【無料お試し読み】 もしも、あなたが「最高責任者」ならばどうするか?Vol.2

good.book発行書籍の中身をお見せします。興味を持っていただけましたら書籍版もよろしくお願いします。

※書籍版は下記リンクよりご覧ください。

BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ書籍シリーズ総集編 第2弾

※本書はBBT大学出版「BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ(Vol.5~8)」をまとめて収録したシリーズ総集編です。

■大前研一による実践的経営トレーニング

"多くのビジネススクールでは、ケーススタディにおいて既に時代遅れとなった問題を扱っている。しかし経営を志す人間にとって、果たしてそのケーススタディは本当に役に立つのか。まだ答えの出ていない、当事者たるリーダーたちが今まさに直面している課題に対し、同じ立場になって考え抜くことを読者のみなさんにも求めたい。"

「もしも、あなたが「最高責任者」ならばどうするか?Vol.2」CaseStudy1より


〜もしも私がキヤノンのCEOだったら〜

※本解説は2015/6/28 BBT放送のRTOCS®を基に編集・収録しています。

大前の考える今回のケースにおける課題とは

 キヤノンの成長を支えてきたオフィス機器(複写機複合機、プリンタ等)及びカメラの二大主力事業が近年、業界の構造転換により大きな転機を迎えている。複写機複合機では、オフィスのプリンティング環境のコスト削減にコミットした包括的サービスを提供するManaged Print Services(以下MPS)が注目されることにより、業界自ら市場縮小に努めながらシェアを奪い合うことを余儀なくされている。競合他社がこぞってMPSに参入するなか、キヤノンは大きく出遅れ、複写機をはじめとするオフィス機器の売上が低迷している。また、デジタルカメラはスマートフォン普及の影響により、出荷台数及び製品単価の下落が進み、世界シェアトップのキヤノンをはじめ、他社もその打撃を受けている。キヤノンは、中核事業であるオフィス機器とカメラ機器の売上低迷という現状を、どのように打破するかが課題となっている。


日本を代表する世界企業・キヤノン 主力事業が低迷する現状

#巨大な売上を誇る精密機器メーカー

 数ある精密機器メーカーのなかでも、日本を代表する世界企業として巨大な売上を誇るのがキヤノンです。2014年12月期の売上高は、3.7兆円。その内訳を見てみると、レーザープリンタ、複写機、商用・産業用プリンタ等、インクジェットプリンタの4部門で構成されるオフィス機器が売上の7割弱を占めており、事業の大きな柱になっていることがわかります(図−1)。そしてもう一つの柱が、売上の23%を占めるカメラ機器です。これには、デジタルカメラ、ビデオカメラ、レンズが含まれます。他、産業機器が8.3%(うち露光装置 が2.4%)となっています。

#事業の柱であるオフィス機器・カメラ機器の売上が低迷

 約3.7兆円というキヤノンの売上高は、競合他社を圧倒する数字ではあるものの2007年の4.5兆円をピークに連結売上高は低迷し、リーマンショック以降回復できていません(図−2)。営業利益においても、ピークには8000億円近い利益をあげていましたが、現在は約3600億円とこちらも2007年以降伸びていません。

 その大きな要因は、主力事業であるオフィス機器、カメラ機器の低迷です(図−3)。また、製品別売上高を見ても2007~08年以降、レーザープリンタ、複写機、インクジェットプリンタ、カメラ機器は低迷しています(図−4)。次にこれら主力事業低迷の背景を分析していきましょう。

オフィス機器における業界構造及び競争環境の変化

#低価格化が進み、競争激化する複写機業界

 複写機・プリンタの世界生産台数については図−5の通り、レーザープリンタはほぼ横ばい、インクジェットプリンタは大きく減少傾向にあり、複写機はリーマンショック前の水準に回復した程度となっています。

  図−6でそれぞれのメーカー別シェアを見てみますと、レーザープリンタのブランド別シェアは米ヒューレット・パッカード(以下HP)が約4割弱と非常に高く、韓国サムスンがその後を追っています。キヤノンは6.6%と低いのですが、HP製のレーザープリンタの大半はキヤノンのOEM供給のため、OEMを含む生産メーカーベースのシェアではキヤノンはモノクロレーザーで44.7%、カラーレーザーで40.8%と世界トップシェアを誇ります(図-7)。

 しかし、もともと日系メーカーが寡占していた市場に韓国サムスン電子が2位にランクするなど、新興国メーカーによるコモディティ化 の兆候が現れています。

 インクジェットプリンタのブランド別シェアでは、米HPに次ぎ、キヤノンは2位にランクしています。HP製のインクジェットもやはりOEMであるため、生産メーカーベースのシェアは異なります。詳細なデータは省きますが、OEMを含む生産メーカー別シェアではトップは台湾の鴻海26%、2位にキヤノン25%、3位にセイコーエプソン16%という状況で、その他にも多くの台湾・アジア系のEMS がシェアを占めています。すなわち、インクジェット市場は既にコモディティ化が激しく進行しており、業界は需要減少と低価格化が同時に進んでいる状況です。したがって、ハードウェアの販売で利益を出すことは極めて困難であり、米レックスマークや米コダックなどの老舗メーカーはインクジェットから撤退しています。また、従来、インクジェットはハードを安く販売し、高額な純正インクで利益を回収するビジネスモデルですが、非純正品やインクの再充填などが横行するなか、純正品も大容量化や低価格化で対抗せざるを得ない状況になっています。インクジェット市場の将来性を俯瞰すると、もはや大きな成長は見込めない市場であるといえます。

 複写機・複合機は、トップのリコーに続き、キヤノン、シャープと、日本企業が世界シェアを寡占しています。この分野における日系メーカーの技術優位性は高く、新興国メーカーの参入を許していませんが、近年、次に述べる通りManaged Print Services(MPS)と呼ばれるサービスが注目され、複写機・複合機業界は転機を迎えています。


 

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