【無料お試し読み】大前研一と考える“EC市場の急成長の中日本企業は「アマゾン」と いかに付き合うべきか”【大前研一のケーススタディVol.24】

good.book発行書籍の中身をお見せします。興味を持っていただけましたら書籍版もよろしくお願いします。

※書籍版は下記リンクよりご覧ください。

本書掲載のケーススタディはビジネス・ブレークスルー大学(以下BBT大学)提供のReal Time Online Case Study(略称、RTOCS)を基に収録したものです。RTOCSとは実際の企業や団体を取り上げ、「誰も正解を知らない現在進行形の経営課題」に対し、「実践」と「議論」による徹底的な論理的考察を経ることで、企業が直面している「本質的問題」を明らかにし、「経営者の視点で意思決定」を行う教育メソッドです。


『BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ Vol.23』CaseStudy1より


〜もしも私がMonotaROの社長だったら〜

※本解説は2016/2/7 BBT放送のRTOCS®を基に編集・収録しています。

大前の考える今回のケースにおける課題とは

 事業者向けにMROの通販事業を展開するMonotaROは、900万点ものMRO商品を取り扱う強みを生かして、主に中小企業を顧客とし、売上高を順調に伸ばしている。MROの市場規模は5兆~10兆円と大きいものの、大企業などの需要を取り込めておらず、MonotaROの売上高は500億円台にとどまる。さらに近年、競合他社がMRO通販事業に次々と参入しており、今後、いかに大企業向けの購買ネットワークに入り込みつつ、競合他社との差別化を図っていくかが課題である。


ロングテールを強みに年率72%で成長

# 住友商事と米MRO大手グレンジャーの合弁として設立

 MonotaROはMROのB to B通販事業を展開する会社です。2000年に兵庫県尼崎市で創業し、売上高は576億円です。MROは企業が購入・調達する備品や消耗品を指し、MonotaROはこのうち製造業や工事業、自動車整備業で使われる工具、部品、消耗品を中心に取り扱っています。

 MonotaROは当初、住友商事とMROの大手卸売業者である米グレンジャーの合弁により、「住商グレンジャー」として設立されました(図-1)。2006年2月に社名をMonotaROに変更した後、個人消費者向け通販サイトを開設、同年12月には東証マザーズに上場しています。その後、2009年9月米グレンジャーのTOBにより同社の連結子会社となり、東証1部に市場変更しました。最近では農業資材・厨房用品、医療・介護用品にも参入しています。なお現在、住友商事との資本関係はありません。


#黒字に転換した後、ほぼ増収増益が続く

 2015年末時点におけるMonotaROの会員口座数は約178万口座、取扱商品点数は約900万点と非常に多くの商品数を取り扱っています(図-2)。いわゆる「ロングテール」で、売れ筋の商品だけでなく、販売頻度の少ないニッチな商品も幅広く取りそろえることで機会損失を防ぎ、全体の売上高を伸ばすという販売手法をとっています。たとえニッチなものであっても、MonotaROの通販サイトを見ると必ず商品が見つかることで、顧客から信頼を得ているのです。まさに、ロングテールがMonotaROの強みと言えるでしょう。

 次に、業績の推移を見てみましょう(図-3)。売上高は年平均成長率72%もの高さで成長しています。創業から5年目までは営業利益、純利益ともに毎年赤字でしたが、2005年にはいずれも黒字に転換。それ以降はほぼ増収増益が続いており、2015年の純利益は44億円に上りました。

  MonotaROの主な顧客は中小企業です。[図-4/MonotaROの顧客の従業員規模分布]にあるように、顧客企業の8割超が従業員100人以下の企業であり、また6割超が30人以下の企業です。

 大企業向けのMRO流通では商材ごとに専門商社から一定量をまとめ買いします。商品単価は購入量に応じてその都度変動しますが、一般的に購入量が多いほど割引率が高くなります。しかし、中小零細企業ではボリュームディスカウントがはたらくほどのニーズはなく、不足したものをその都度買い足すという購買パターンが主流です。このような中小零細企業にとって、必要な時に必要な量だけをワンストップ・ワンプライスで購入できるMonotaROはたいへん利便性が高いのです。このようにMonotaROは中小零細企業のニーズを捉えることで順調に売上高を伸ばしてきました。


大手が売上高のほとんどを占めるMRO市場

#市場規模は大きく、MRO通販の潜在ニーズは高い

 MROの市場規模は実はとても大きく、同社の試算によると市場規模は少なく見積もって5兆円、業界別に市場規模を積み上げて試算すると10兆円になると見ています(図-5)。

 しかし、そのほとんどは大手の専門商社を中心とした対面販売ですので、代替チャネルとしての通販の成長余地は大きいと言えます。

 B to B通販の現状を見てみましょう(図-6)。通販全体の1位はアスクルです。MROに特化する企業だけで見れば、1位はミスミグループ本社、MonotaROは2位に位置しています。しかしミスミグループ本社の売上高は2,086億円で、576億円のMonotaROとは大きな差があります。

#MRO市場を仲介する専門商社の役割

 MonotaROの主力事業は事業者向けのMRO通販事業ですが、このMRO業界には個人向けの商材を扱う通販事業者が参入してくるという事例はありませんでした。というのも、MROは各種製造業、建築・土木と業界が多岐にわたり、さらに商品ごとにサプライヤーが異なるため、専門商社でないと扱えないという事情があります(図-7)。MROはある意味、特殊な商品ですし、アイテム数も多い。このような事情から、MRO市場には個人向けの通販事業者は容易に参入できないのです。

 



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