【無料お試し読み】BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ Vol.25

good.book発行書籍の中身をお見せします。興味を持っていただけましたら書籍版もよろしくお願いします。

※書籍版は下記リンクよりご覧ください。

本書掲載のケーススタディはビジネス・ブレークスルー大学(以下BBT大学)提供のReal Time Online Case Study(略称、RTOCS)を基に収録したものです。RTOCSとは実際の企業や団体を取り上げ、「誰も正解を知らない現在進行形の経営課題」に対し、「実践」と「議論」による徹底的な論理的考察を経ることで、企業が直面している「本質的問題」を明らかにし、「経営者の視点で意思決定」を行う教育メソッドです。


『BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ Vol.25』CaseStudy1より


~もしも私がイオンエンターテイメントの社長だったら~

※本解説は2016/9/4 BBT放送のRTOCS©を基に編集・収録しています。


大前の考える今回のケースにおける課題とは

 日本初のシネコンであるワーナー・マイカルを承継したイオンエンターテイメントは、国内最多の劇場数とスクリーン数を誇り、低迷する映画館業界にあって売上高の増加を維持しているが、国内のシネコンの年間平均座席利用率は20%前後に留まっている。観客動員数の大幅な増大が見込めない中、いかに稼働率を向上させるかが課題となっている。


イオングループのシネコン

# 日本初のシネコン「ワーナー・マイカル」の合併により成立

 イオンエンターテイメントは、その名のとおりイオングループの映画興行会社です。前身は『ジュラシック・パーク』が大ヒットした日本初のシネコン 運営会社、ワーナー・マイカルです。同社は映画製作・配給の米ワーナー・ブラザーズ(タイム・ワーナーグループ)と国内流通大手マイカルの折半出資会社として1991年に設立されましたが、2001年に一方の親会社であるマイカルの経営破綻によりイオンがスポンサーとなり経営再建に当たっていました。2011年にはイオンがマイカルを吸収合併、2013年には米ワーナー・ブラザーズが撤退し、ワーナー・マイカルはイオンの完全子会社となりました。さらにイオンシネマズと統合し、イオンエンターテイメントに改称して現在に至っています。

 前身のワーナー・マイカル時代から、毎年1施設以上、多いときには10施設以上と次々に劇場数を増やしてきました。それに合わせて、多少の増減はあるものの、売上高も年々伸びており、2015年度には460億円に達しました(図-1)。


# 売上高2位、施設数は国内最多

 [図-2/映画館・シネコンの売上高ランキング]をご覧ください。国内の主な映画館事業者の売上高を比較すると、トップはTOHOシネマズの732億円、2位にイオンエンターテイメントの460億円、その後に松竹マルチプレックスシアターズ、ローソンHMVエンタテイメント、東映系のティ・ジョイ、東急レクリエーションが続きます。一方、劇場数およびスクリーン数はイオンエンターテイメントがそれぞれ84施設、709スクリーンと順位が逆転しトップとなっています。

 2015年度の国内映画館興行収入は2,171億円で、上位5社が全体の9割を占める寡占状態にあります(図-3)。中でも1位のTOHOシネマズと2位のイオンエンターテイメントの2社だけで全体の半分以上を占めています。


低迷する映画業界とシネコンの登場

# テレビの普及で観客動員数はピーク時の10分の1に

 イオンエンターテイメントの売上高は伸びていますが、映画館業界全体の状況は明るいものではありません。かつて映画は日本人にとって大きな娯楽であり、1958年には年間の観客動員数が11億人を超えました。しかしその後、東京オリンピックをきっかけに一般家庭にテレビが急速に普及し、それとともに観客動員数は急激に減少。過去最低を記録した1996年には1億2,000万人弱と、ピーク時のおよそ10分の1にまで落ち込み、映画館自体も減っていきました(図-4)。


# シネコンの登場により回復傾向に

 ところが底を打った1996年以降、シネコンの登場によりスクリーン数は回復してきています。[図-5/映画館のスクリーン数]にあるとおり、一般の映画館の数は年々減少していますが、シネコンは反対に数を増やしています。その先駆けとなったのが、イオンエンターテイメントの前身であるワーナー・マイカルでした。

 スクリーン数だけでなく観客動員数も微増ながら回復傾向にあり、2015年は1億6,663万人と、1996年から5,000万人ほど増えました(図-6)。



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