【無料お試し読み】BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ Vol.26

good.book発行書籍の中身をお見せします。興味を持っていただけましたら書籍版もよろしくお願いします。

 ※書籍版は下記リンクよりご覧ください。

本書掲載のケーススタディはビジネス・ブレークスルー大学(以下BBT大学)提供のReal Time Online Case Study(略称、RTOCS)を基に収録したものです。RTOCSとは実際の企業や団体を取り上げ、「誰も正解を知らない現在進行形の経営課題」に対し、「実践」と「議論」による徹底的な論理的考察を経ることで、企業が直面している「本質的問題」を明らかにし、「経営者の視点で意思決定」を行う教育メソッドです。


『BBTリアルタイム・オンライン・ケーススタディ Vol.26』CaseStudy1より


〜もしも私が長野電鉄の社長だったら〜 

※本解説は2016/8/28 BBT放送のRTOCS®を基に編集・収録しています。


 大前の考える今回のケースにおける課題とは 

 長野県北部に展開する鉄道事業を中心に、バス・タクシーなどによる旅客輸送、自動車・石油製品販売、不動産、ホテル・レジャーなどの事業を行っている長野電鉄。沿線上に善光寺や湯田中渋温泉郷、スキー場を擁する志賀高原など県内有数の観光地を抱えながらも、運輸事業は慢性的に赤字、レジャー事業は規模を縮小している。さらにターミナル駅の「長野駅」を東急百貨店やJR系に占拠されているという現状において、いかに沿線観光を強化しターミナル駅の商業施設を開発するかが今後の課題となる。


 長野電鉄の営業路線と事業展開

 # 全長約33km、沿線上に多くの観光地を抱える

  長野電鉄は長野県北部で長野駅をターミナル駅とする民営鉄道です。鉄道事業のほかに、バスやタクシーなどの旅客輸送事業、自動車や石油製品の販売事業、不動産事業、ホテル・レジャー事業も行っています。これらは長野電鉄を事業持株会社とした「ながでんグループ」を形成しており、グループ連結での年間売上高は2016年3月期で174億1,618万円です。同じ長野県内の民営鉄道には、松本駅を中心に松本電鉄を運営する「アルピコ交通」、上田駅を起点とする「上田電鉄」があります。また、北陸新幹線開通により、JR信越本線の一部を移管した第三セクター「しなの鉄道」があります。  長野電鉄の営業路線は1路線で、始点の長野駅から須坂市、小布施町、中野市を経由し山ノ内町の湯田中駅を終点とする33.2kmを運営しています。 

 長野電鉄の長野駅はJR長野駅の北側(善光寺口)の地下にあり、ながの東急百貨店とJRの駅ビルが地下で直結しています。  沿線上には多くの観光地を擁しています。年間600万人超の参拝客を集める善光寺、葛飾北斎ゆかりの地としても知られる小布施、湯田中渋温泉郷と温泉に入るニホンザルで有名な地獄谷野猿公苑、そして県内で最も多くのスキー客が集まる志賀高原があります(図-1)。  長野県が発表している主要観光地の観光客数上位50を見ると、善光寺は2位の610万人、七年に一度の善光寺御開帳の祭事には1,200万人超の参拝客が訪れます。4位の志賀高原は334万人で県内スキー場としてはトップです。そして13位には地獄谷野猿公苑への宿泊拠点となる湯田中渋温泉郷が127万人となっています(図-2)。このように長野電鉄沿線には県内有数の観光地が集まっています。 

# すでに2路線を廃線に

  これほど観光資源に恵まれながらも、長野電鉄が運営していた3路線のうち、すでに2つの路線が廃線に追い込まれました(図-3)。かつては信州中野から飯山のすぐそばの木島までを走る河東線という路線がありましたが、2002年に廃線となりました。また、須坂と屋代との間を結んでいた屋代線が2012年に廃線となっています。今残っているのは本線1本のみという状態です。

  私も小布施に行くときに時々利用しますが、これ以上はないというくらいの寂れた電車です。しかしそれでも、沿線住民の生活路線として頼りにされています。

  途中駅にある善光寺は人気のある観光地ですが、長野駅から善光寺に行く場合はバスを利用するか、あるいは徒歩でも行ける距離ですから、ここに関しては観光客の利用は少ないでしょう。主要駅の一日平均乗降客数は長野駅が約9,800人、善光寺下が約1,200人、須坂が約6,000人、小布施が約1,600人、信州中野が約2,900人、湯田中が約1,100人という状況です。本来、湯田中がかなり有力な観光地になり得るはずなのですが、今のところ盛り上がりを見せていません。 


長期低迷をもたらした“スキー客離れ

# 全体の事業規模は拡大するも、本業の運輸事業は低迷が続く

  長野電鉄の売上高の構成を見てみましょう(図-4)。鉄道、バス、タクシー、そのほか保守業務を合わせた運輸事業が約28%です。最も大きな割合を占めているのは販売事業で、自動車販売やガソリンスタンドの経営などを行っています。自動車販売は傘下に「長野三菱自動車販売」というディーラーがあります。ガソリンスタンドは「北信米油」という子会社がエッソの代理店をしています。   約22%を占める不動産事業、これは長野電鉄本体に不動産事業部があり、分譲・仲介・賃貸を扱う一方、「長電建設」という子会社で建設業も行っています。レジャー事業としては、旅館が2軒と小布施パーキングエリアに直結する道の駅「小布施ハイウェイオアシス」を運営し、そのほかにも旅行代理業・広告代理業・保険代理業なども展開しています。

  このように、民営鉄道は一般的な事業形態として、沿線の不動産開発、レジャー開発、小売事業などを行い運輸事業とのシナジーを図ります。  各事業の売上高がどのように推移してきたか、1990年からたどって見てみましょう

(図-5)。運輸事業は右肩下がり、2000年以降は横ばい状態ですが、この年に旅行代理業・広告代理業やガソリンスタンド経営などを連結化しています。2006年には自動車販売業を連結化しました。こうすることで全体の事業規模は拡大しているものの、本業の運輸事業は低迷を続けています。 



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