【無料お試し読み】オープンイノベーションが“新たな”未来を創る(KAIKAレポート)

自前主義から協創へ

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KAIKAオープンイノベーションLab.の概要


概要

 一般社団法人日本能率協会は、「個の成長、組織の活性化、組織の社会性」を同時に実現していくプロセスを「KAIKA」という概念として定義し、2011年より提唱しています。

 また、「KAIKA」の考え方を実践していくために、表彰制度(KAIKA Awards)、KAIKAの考え方や実践のあり方を研究するKAIKA Lab.など、様々な活動を実施しており、この活動をKAIKAプロジェクトと呼んでいます。

 「KAIKAオープンイノベーションLab.」は、オープンイノベーションに強く関心を持つ様々な企業のイノベーターが集う学びと交流の場として、KAIKA Lab.の一環として実施されました。

「オープンイノベーション」の重要性の高まり(状況変化のまとめ)


環境変化とオープンイノベーション

 「オープンイノベーション」は、昨今の世界的な経営環境の変化を受けて、日本企業のみならず、世界中の企業の経営戦略上の重要性を増している。ここでは、「オープンイノベーション」の重要性が高まってきた背景にある世界的な経営環境の変化と企業の競争優位の源泉の前提にどのような変化があったのかまとめる。

 昨今の世界的な経営環境変化の大きな要因として、「経済のグローバリゼーションの進展」と「世界的な情報の非対称性の縮小」がある。この2つの要因により、オープンイノベーションの必要性が変化したが、表1はその変化の前後の企業の状況(構造)の変化を重要と考えられる項目毎にまとめたものである。

 これによれば、従来の垂直統合によるスケールメリットを活かしたビジネスモデルは、世界的な経営環境の変化をもたらす上記2つの要因により相対的に競争優位性が低下してきている事が確認できる(ヘンリー・チェスブロウ(2006) も「オープンイノベーションパラダイムは、企業内の研究開発(R&D)活動が製品の社内開発をリードし、その製品を同じ会社が流通にまわすという従来の垂直統合モデルに対するアンチテーゼと考えることができる」としている)。

 企業は、世界的な環境変化、それに伴う競争激化に対応するために、また多様化した顧客ニーズに対応する為に、多くの仮説検証をスピーディーにおこない、注力分野への資源の最適配分を実施する事が求められるようになってきていることが分かる。

 このような状況(構造)変化には、産業毎に格差が存在するが、世界的にみれば多くの産業で状況(構造)変化が進み、当該格差は縮小している。日本においても、コンピュータ、エレクトロニクス等製造業の幾つかで上記の状況(構造)変化が顕著になってきている。

 日本企業においては、多くの産業(特に製造業)で国内市場を対象に垂直統合のビジネスモデルで競争優位を保ってきた企業が多いが、「経済のグローバリゼーションの進展」と「世界的な情報の非対称性の縮小」の2要因は今後ますます日本企業に影響していくものと考えられる。故に、近い将来、上記のような状況(構造)変化を受け入れなければならないと想定できる産業が多く、早急な対策が必要になると考えられる。

 また、「世界的な情報の非対称性の縮小」や経営を実践する上でのインフラの整備の拡充は、ベンチャービジネスの発展にも寄与した。

 現在アメリカを中心にイノベーション創出を目的にした数多くのスタートアップビジネスが立ち上がり、それに伴い世界的にベンチャービジネスを支えるベンチャーキャピタルの投資額も増大している。このようなベンチャービジネスの発展は、垂直統合型のビジネスモデルを展開している企業で新規事業を起こせなかった人材の受け皿ともなり、多くの起業家を輩出してきた。

 逆説的に言えば、ベンチャービジネスが起こりやすい産業では、垂直統合のビジネスモデルが成立しにくいと言える。その意味では、ベンチャービジネスは広範な産業に浸透しており、多くの産業で垂直統合のビジネスモデルを見直さなければならない時期に来ていると言えるだろう。

 このような中で、「オープンイノベーション」の重要性を認識し、状況(構造)変化に対応する一つの方法論として積極的に取り組む動きが、日本企業でもリーマンショック以降、顕著に見られるようになってきた。日本企業が、「オープ ンイノベーション」に本格的に取り組む為には、これまでの成功体験を現実的に整理し、状況(構造)変化を現実的に受け止め、危機感を持ち、経営トップのコミットメントのもと取り組んで行かなければならない。


欧米と日本におけるオープンイノベーションの取り組み状況

 ここで、欧米と日本におけるオープンイノベーションへの取り組み状況について概観する。欧米の取り組み状況は、2013年に発表されたバークレー大学(米)とフラウンホーファー研究所(独)との共同調査(表2)を、日本での取り組み状況は、2011年の経済産業省の調査報告(表3、表4)を取り上げることとする(報告の発表時期で約2年の差異があるので、その点は考慮する必要がある)。

 まず、欧米企業の調査で重要な点は、回答企業の約8割でオープンイノベーションが実践されるとともに、3年前と比較して取り組みが強化されているということである。また、回答企業の約7割でトップマネジメントの認識も高まってきている状況である。

 日本企業の調査においては、表4にみられるように、自社単独開発の割合について、今後「減らすべき」と回答する企業がオープンイノベーションに好意的と考えられる。しかしながらその割合は約4割と、欧米に比べ非常に低水準となっている。日本企業と欧米企業では、オープンイノベーションへの取り組み意識に大きな開きが存在している事が分かる。

 実際のオープンイノベーションの実施割合(日本企業は表3)は、欧米企業が約4割、グループ内企業との連携を除くと日本企業が約2割5分となっている。

 また、欧米企業のオープンイノベーションの主な実施手段は、「顧客との共創」、「非公式ネットワークの活用」、「大学との共同研究」が主なものとなっている(インバウンド型での実施手段)。一方で日本企業では、「国内大学との連携」、「国内の異業種の他企業との連携」「国内の同業他社との連携」が主なものとなっている。

 欧米企業と日本企業との違いは「顧客との共創」が経営上重要な役割に位置付けられている点である。また、「非公式ネットワークの活用」など外の知を活用する姿勢もみてとれる。一方、「大学との共同研究」は、欧米および日本の双方で採用されているように、オープンイノベーションでは認知された実施手段となっている。

 しかし、オープンイノベーションの実施方法について、欧米企業が多種多様な実施手段を駆使・実践している訳でもなさそうであり、オープンイノベーションの本格的な実践、企業経営の中での活動の仕組みの確立は世界的に今後の課題となるのではないかと考えられる。

 但し、欧米企業の調査で顕著なのは、「オープンイノベーションをマネジメントする上での最大の課題は、組織内の問題である。自前主義からオープンイノベーションへの転換がもっとも難しいタスクである。」、「仕組みの確立と同様に、企業文化・行動規範としての浸透が重要。」という認識がきちんとなされていることである。

 このようなことから、欧米企業では、オープンイノベーションへの意識が高まり、その実施手段がもろもろ模索されるようになっている段階であり、更に企業の中の活動としてどう浸透させていくか試行錯誤されていると推察される。

 上記から、現状の取り組み状況を鑑みると、今後、欧米企業と日本企業ではオープンイノベーションの実施経験、手段の多様性、その結果の寄与について、差が開いていく可能性があると考えられる。それ故に、欧米企業との間で、オープ ンイノベーションの理解、意識で大きな差を付けられている今日の状況を転換し、できうる限り早急に日本企業は、オープンイノベーションに対する理解を深め、その認識を深耕させていく必要がある。

 そして、日本企業が、国際的な競争力を維持していく為には、従前から保有している自社の研究開発力を更に磨くとともに、オープンイノベーションの実践を適切にミックスし、クローズドイノベーションとオープンイノベーションの 最適バランスの運営体制を形成していく事が重要となる。

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